震災時の通信網ダウンを想定しておく

今は「携帯電話」を持っていない人などはいないのではないでしょうか。それほどまでに、この小型の情報端末はインフラとして普及しました。誰もが持っている、ということは有事の際にはだれもが同じタイミングで、同じ理由で、それを使用することになります。普及した台数は無情にも、一斉に通話されることに耐えられない電話回線をパンクさせます。震災発生時には、まず電話は繋がりません。
災害の際、まず気になるのは家族親しい人の安否でしょう。自らの身の安全が確保できれば、まずは何をおいても家族のことが気になるはずです。それは誰もが同じことです。生きているのかどうかすらままならない状況では、本人に電話をして確かめたくなるのは当然です。ですが、そのような際の一斉通話には、現状の電話回線は耐えられません。繋がらなければリダイヤルする、それが繰り返されるだけでも、回線のパンクは治まらないのです。
これは将来予測される震災時にも変わりません。いまだどうすることも出来ないでしょう。
ですから、常日頃から緊急時にはお互いどうする、という取り決めを交わしておくことが望ましいでしょう。避難場所、合流場所を決めておき、日頃から忘れないようにしておくのです。
もちろん、それだけでは有事の際の互いの安否はわかりません。ですから、緊急時には各携帯電話会社の開設する災害用伝言ダイヤルを使うようにするなど、通常の電話回線以外の連絡手段も決めておくべきです。ちなみに、携帯電話での「Eメール」も破たんします。送信できたとしても、相手に届くのは何十時間も先かもしれません。
先の震災時にも役に立ったのは、「インターネット」です。インターネット回線は携帯電話の通話回線やEメール回線とは全く別物です。これを用いて、連絡を取り合うことは大変有効な手段だとされました。
ですから、「緊急時のお互いの行動指針」の中に、インターネットの特定方法で連絡を取り合うことを盛り込んでおくべきです。
せめて親しい人の安否がわかるだけでも、人は幾分か落ち着けるものです。親しい人の安否情報は、「生きている」という確かな知らせは、「会いに行く」という活力を生みます。極限状態では、そのような「絆」が人を動かす原動力になるのです。