「地盤の硬さ」という盲信

先の震災でも、一部の埋め立て地などでは地盤が緩いとされ、その揺れは激しく、そして地震直後には「液状化現象」というカタチで二次災害を引き起こしました。 確かに、地盤が軟弱であればあるほど、地震のエネルギーの影響を受けやすく、体感震度は大きなものとなるでしょう。発生する地震が地盤の悪い地域の直下で発生してしまえば、その地域は最悪の事態に陥ることが予想されます。
地盤が軟らかいと、いくら建物に耐震措置を施しても無意味かもしれません。大地事態が流動化し、思いもよらない被害が発生するかもしれません。
それでは、地盤が硬ければ安全かというと、決してそのようなことはありません。先の震災では地軸が傾くほどのエネルギーの放出がありました。そのような地球規模の地震では、多少地盤が固くてもそんなものを軽々粉砕してしまうことは造作もありません。ですから、「自分の街は地盤が硬い」といって何の対策もしないのでは、いざという時に想定外の事態に陥ります。
そして、人は今の暮らしの中で「移動する」ことが欠かせません。ずっと地盤の固い場所に居続けることなど、できないのです。そして、地震の発生するタイミングを見計らって地盤の丈夫な地域に避難することも不可能です。
地盤が固いかどうか、ということは「都市レベル」での被害の大小を計る指標にはなるかもしれませんが、個人レベルではほぼ無意味な基準です。液状化現象などの目に見える事態で「地盤」に対する考えや憶測が乱れ飛んでいますが、液状化現象では人は死なないのです。
一番大切なことは、地震の発生した瞬間、命をとりとめるということです。その瞬間に生きてさえいれば、その後は苦難の道かもしれませんが、再びまた元の生活を取り戻せるのです。
地盤の硬さは地震発生時の人の生死を左右しません。ですから、「地盤」という盲信にとりつかれてはいけないのです。
いつどこで、どんな規模の地震が起こるかわからないような状態です。誰もが、等しく対策を立てるべきなのです。